上海交響楽団ホールはその名の通り上海に本拠地を置く上海交響楽団が自ら使用するために建てた自前のコンサートホールである。
上海市中心部の旧フランス租界の雰囲気を残す復興中路に面し、上海音楽院のそばにあり、内部にはオーケストラ用の大ホールとリサイタル用の小ホールを備える。
大ホールはステージを客席が囲むワインヤード形式を採用しているが、比較的客席傾斜が急なため、ワインヤードというよりはすり鉢状のコロッセウムのような形状に近い。
ここステージ上空の天井はそれほど高くなく、コンクリート的な内壁の内側に、籐で編んだ籠のような網目に組まれた反響板がホールの天井と壁、ステージ奥にはられている。

上海交響楽団音楽庁

このホールの音は、中国西湖付近の名産龍井茶のように音がすっきり濁らず爽やかな風味であるのが特徴である。
その上、烏龍茶のごとく後味も非常にスッキリして後に残さない。
あまり残響を長くひっぱられないので、どんなに濃い曲を鳴らしたところで、ここでは重くならずスッキリとした味わいに響いてしまう。
どんな曲を演奏されても心に残る余韻を楽しむというより、楽器そのものの音の美しさを楽しむ空間に仕上がっている。
それ故にどんな曲でも爽やかに聴けるが、人によっては物足りなさを感じる面もあるかもしれない。
交響曲などフルオーケストラの曲も演奏される空間ではあるがむしろ室内楽的なあっさりとした響きが似合う。
例えばヴァイオリンのソロのような楽器そのものの音色を味わうにはうってつけのホールである。

ただし、それが逆に聴衆席の拍手もあまり響きを残さないため、演奏家を包み込むような音の響きにもなりづらく、聴衆と演奏家のコミュニケーションがあっさりしてしまうような印象もある。

 

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